
投資はいつ始めるべきか?今の円安・株高は気にすべき?
投資を始めようと考えたとき、多くの人が「今は円安で株も高すぎるから、価格が落ち着いてから始めたほうがいいのでは?」と疑問に思うかもしれません。しかし、為替相場や株価がどう決まるのかを理解している人と、そうでない人では投資の成果に大きな違いが生まれます。
まずは、為替相場の基本をおさらいしながら、いつ投資を始めるべきか考えてみましょう。
為替相場は何で決まるのか?
通貨も株価と同じで「需要と供給」で決まります。円を欲しい人が減れば円安になり、1ドル150円、160円、170円と円の価値が下がっていくわけです。
たとえば、2011年頃は円を欲しがる人が多く、1ドル76円という超円高でした。当時、私は10万円で2週間ハワイ旅行を楽しんだり、プロテインを10kg1万円で輸入できたりと、かなり得をした記憶があります。これは、多くの人が円を買いたがっていた結果、円の価値が高まっていたからです。
この為替の変動を引き起こす要因には、大きく分けて以下の3つがあります。
① 経常取引(貿易による影響)
かつて日本企業は海外へ多くの製品を輸出し、その代金としてドルを稼ぎました。そして、そのドルを売って円を買い、社員の給料や経費を支払っていたのです。これが「円高」の一因でした。
しかし、現在は日本の競争力が低下し、貿易収支も赤字傾向。そのため、昔のように円が強くなりにくくなっています。
② 資本取引(投資による影響)
最近、日本ではNISA(ニーサ)制度が普及し、多くの若者が積み立て投資を通じて「オール・カントリー(オルカン)」や「S&P500」に投資しています。
たとえば、私は毎年360万円分のNISA枠を年初に一括で投資していますが、これは360万円分の円を売り、ドルを買って米国株を購入していることになります。これが続けば、円が売られ、ドルの需要が高まるため、円安が進む要因になります。
③ 投機的取引(短期の売買による影響)
「円は今後もっと安くなるかもしれない」と考える投機家たちは、レバレッジをかけて円を売りまくり、ドルを買い込むことで利益を狙います。こうした動きが加速すると、さらに円安が進む可能性があります。
政府・日銀の為替介入
こうした投機的な動きを抑えるために、日本政府や日銀は「為替介入」を行うことがあります。たとえば、大量のドルを売って円を買い戻すことで、円安の進行を食い止めようとします。
しかし、為替市場は非常に複雑で、政府の介入だけで長期的なトレンドを変えることは難しいのが現実です。
投資は今始めるべき?それとも待つべき?
結論から言えば、「投資はいつ始めてもよい」です。
ただし、成功するためには 「15年以上の長期投資」「低コストのインデックスファンドに投資」 という条件を守ることが重要です。
なぜ円高になるまで待ってはいけないのか?
「円高になってから投資を始めたい」と考える人もいますが、為替の未来を正確に予測することは 不可能 です。
投資の世界では、「稲妻が輝く日(市場が急上昇する日)」を逃すと、大きなリターンを得られないと言われています。たとえば、S&P500は年平均11%のリターンがありますが、過去25年間の 最も上昇した30日 を逃すだけで、リターンは 年6%にまで低下 してしまうのです。
市場が暴落しても積立投資を続けることで、安く買うチャンスを得られます。逆に「安くなったら買おう」と思っていると、その 「安くなった瞬間」 に買えることはほぼありません。
為替リスクを避けるための「為替ヘッジ」は必要か?
投資においては、「為替リスク」を避けるために「為替ヘッジ」をする選択肢もあります。しかし、結論として 長期投資には為替ヘッジは不要 です。
なぜなら、為替ヘッジをすると コストがかかり、リターンが大きく下がる からです。
為替ヘッジの有無でどれくらい差が出るのか?
MSCIコクサイ・インデックス(日本を除く先進国22か国の株価指数)を例にすると、1990年を100とした場合、2020年までに以下のような結果になっています。
- 為替ヘッジなし → 約7倍
- 為替ヘッジあり → 約2.5倍
この差は、ヘッジコストが長期的に大きな影響を与えたためです。特に 長期のインデックス投資では、余計なコストは極力払わないほうがよい というのが鉄則です。
投資の成功のために守るべきポイント
1. 投資は「今すぐ」始める
市場は常に変動しており、最適なタイミングを狙うのは不可能です。だからこそ、今すぐ始めるのがベスト。
2. 長期投資を前提とする
投資は 最低15年以上の長期投資 を前提にするべき。短期の値動きに惑わされず、積み立てを継続することが大切です。
3. 低コストのインデックスファンドを選ぶ
コストは 長期的に大きな影響 を与えるため、信託報酬の低いインデックスファンドを選ぶのが鉄則。
4. 積立投資を途中でやめない
暴落時こそ買いのチャンス。「稲妻が輝く日」を逃さないように、定期的な積み立てを続けることが重要。
5. 売るタイミングは「お金が必要な時」だけ
市場の動きを予測して売るのではなく、自分が必要なときにだけ売るのが正解。
まとめ
投資は、為替や株価の動きを予測するものではなく 「長期的な成長に乗る」もの です。
円安・円高を気にしすぎず、 「今すぐ」「長期的に」「低コストで」 投資を始めるのが、最も成功しやすい方法と言えます。
感情に流されず、「航路を守る」投資を続けていきましょう!
